LCCの運行によって、海外への旅行も非常にリーズナブルに行けるようになりました。今回は海外旅行における携帯電話の利用法を、選び方も合わせて解説して参ります。
■旅行先で何をしたいのか整理する
海外旅行先でどういったことが必要になるか、まずはシュミレーションしましょう。
例えばカップルでの旅行の場合、それぞれの利用法が異なる事もあるはずです。お互いの旅行中の必要なデータ容量や費用を試算すれば、どのプランを利用するかをスムーズに決めることができるでしょう。
例えば30代前後の社会人カップルが、2泊3日で台湾旅行へ行く場合を仮定してみましょう。
グルメも観光地も沢山ある台湾へ旅行に行った場合、携帯を利用するシーンは下記の様な内容が想定されます。
彼が利用したいこと
・現地でMAP利用したい
・観光地やお店を検索したい
・アプリをストレス無く利用したい
・仕事の連絡を取れる様にしておきたい
(メール、LINE、LINE通話など)
彼女が利用したいこと
・お店の情報や口コミを検索したい
・LINEやLINE通話はできるだけ利用したい
・インスタを利用したい
特にストーリーズは頻繁にUPしたい
・移動時は彼と動画も楽しみたい
準備さえして行けばガイドブック無しの旅行でも、充分に楽しめます。しかし、私も経験がありますが、現地のフリーWifiだけを利用して旅行する事は、予想以上の時間と体力をロスしてしまいます。スムーズに目的地に辿り着ける様、海外で携帯を利用できるサービスを事前に準備しておく事をお勧めします。また、プランを選ぶ際は、MAP検索やweb検索の容量は多く見積もって置いた方が安心です。
社会人の方の場合、彼の様に仕事の連絡が取れる様にしておきたい方も、比較的多いのではないでしょうか?海外では通常の電話を利用すると、通話料が高価になるので、LINEやskype等での連絡が一般的です。こういった通信アプリを利用する際にも、もちろんデータ通信が必要になりますので、彼女のLINE利用等と合わせ、必要なデータ容量として見積もっておく事が必要です。
彼女のインスタやLINEもどの位利用したいのか、プランを決める前に確認しておくと安心です。フリーWifiがない場所でも、記念残る写真をすぐにアップしたいと思いますので、この辺りも合わせて事前の確認をしておくといいでしょう。
では、実際にストレスなく利用するには、データ通信量にすると一体どのくらい必要になるのでしょうか?
■データ使用量の目安
下記内容は「イモトのWifi」にて提供されているデータですが、利用する容量の目安として確認してみましょう。
目安となるデータ量
・WEBサイト閲覧 (Yahoo!トップページ 1回表示1.4M程度)
・Eメール (添付ファイル付き 1M程度)
・LINEメッセージ (メッセージのやり取り 1通500文字2KB)
・LINE通話 (音声通話 1分300K程度)
・googlemap (地図検索 1回3M程度)
・Instagram (写真投稿 1回25M程度)
1日25M利用の場合
・WEBサイト閲覧 約18回
・Eメール 約25通
・LINEメッセージ 約1万2500通
・LINE通話 約80分
・googlemap 約8回
・Instagram 約1回
1日250M利用の場合
・WEBサイト閲覧 約180回
・Eメール 約250通
・LINEメッセージ 約12万2500通
・LINE通話 約13時間
・googlemap 約80回
・Instagram 約10回
1日500M利用の場合
・WEBサイト閲覧 約360回
・Eメール 約500通
・LINEメッセージ 約25万通
・LINE通話 約26時間
・googlemap 約160回
・Instagram 約20回
このデータで見ると、1日当たり250M前後のデータで利用できそうですが、この他の内容で携帯利用するシーンも多くあり、想像以上にデータ容量を利用する場合があります。
例えば、彼女が利用したいInstagramを5分程度閲覧する場合は、50M~70M程度データが必要で、ストーリーズ等動画を含めると、閲覧だけでも100M程度必要になります。
こういった内容も考慮すると、今回のカップルの場合であれば、mapとInstagram、WEB検索の頻度は平均的に高くなる予測がつくので、500M以上のプランが良いことが分かります。
このカップルは1日500M以上のデータプランが適切だとわかりました。それでは、どのような方法で海外で利用すれば良いのでしょうか?
個別での携帯利用も含め、代表的な4パターンの利用法があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
■海外旅行時の携帯利用方法とその価格
・Docomo,au,softbankの海外データ定額サービス
Docomo,au,Softbankであれば提供しているサービスで、ショップやWEBから簡単に手続きが出来き、すぐに利用する事ができます。この他のメリットとして、付属品もなく、準備が必要ありません。また、1日どれだけ利用しても上限金額が決まっているので、安心して利用する事ができるでしょう。海外旅行先のほとんどの国で利用できるのもメリットと言えます。Docomoであれば世界205ヵ国で利用可能で、au、Softbankについては、海外旅行が可能な地域の99%をカバーしています。もちろん今回の旅行の目的地、台湾でも利用可能です。
デメリットとしては、他の方法に比べ高価で、データ容量も少ない点にあります。各社ともデータ利用量に応じた、2段階の料金設定になっていて、第1段階の通信量は3社とも25M以下です。この容量だと、実質Instagramで一度写真をUPする程度で第1段階を越えてします。
ほとんど携帯利用しない方で、費用に関係なく、簡単に海外で携帯を利用したい方にはお勧めですが、一般的には利便性のメリットよりもコストが高価な為、利用しづらいサービスと言えます。
では、各社の具体的な料金体系を見ていきましょう。
【Docomo】 1日24.4Mまでの利用:1,980円 使い放題:2,980円
【softbank】 1日25M未満の利用:0円~1,980円 使い放題:2,980円
【au】 1日24.4Mまでの利用:1,980円 使い放題:2,980円
またDocomoとauでは、日本で利用中のデータ定額サービスをそのまま利用するプランもあります。その場合は、1日980円とリーズナブルですが、プランの利用量を超えると、通信制限が掛ってしまうなどデメリットもあるので注意が必要です。また、日本で契約中のプランによっては、利用ができない場合があるので、申し込み前の確認が必須です。
・レンタルWi-Fi
近年一般的に利用する方が増えているのが、レンタル可能なポケットWi-Fiサービスです。WEB等から簡単に申し込みができ、特に複数人ならデータ容量をシェアしながら利用できるので、1人当たりのレンタル料金も安く利用できる為、コストパフォーマンスも非常に優れています。
また空港でルーターを受取り、帰りの空港で返却できるお手軽さもメリットと言えます。事前にWEBから申し込みをしておけば、空港に設置されたカウンターでの簡単な説明と手続きを受けるだけで、数分で受け取る事ができるので大変便利です。
デメリットとしては、タバコ大程の大きさのWifiルーターを常時持ち歩く事になります。紛失の際にはペナルティーもある為、注意が必要です。また、Wifiルーターは充電式になっている場合がほとんどですので、充電が切れると再度充電するまで利用が出来ません。利用する際だけ電源を入れると、充電が長持ちするので、少し気をつけるだけでも充電切れの心配は防ぐ事ができるでしょう。
では台湾で利用できる、国内のレンタルWifi「GLOBALWifi 」と「イモトのWifi」のプランと料金についてみていきましょう。カップルに必要なデータ容量である、500M前後のプランを例に挙げます。
【 GLOBALWifi 】※早割は成田・羽田空港受取りの場合、渡航前日15時までの申し込みで適応
・4G高速 1日600Mプラン 定価1,370円 早割り1,170円
・3G中速 1日600Mプラン 定価1,170円 早割り970円
【イモトのWifi】※早割は渡航日の30日前の申し込みで適応
・4G/LTE 1日500Mプラン 定価1,080円 早割り970円
・3G 1日500Mプラン 定価 680円 早割り610円
Docomo,au,Softbankが提供している海外データ定額プランとの違いは、携帯キャリアのデータ定額は利用する携帯電話毎に契約が必要ですが、海外レンタルWi-Fiの場合は1台を複数人でシェアする形式になるので、容量も料金も半分で利用できます。
このカップルのケースで比較すると、携帯キャリアのデータ定額を使い放題で利用した場合は、2名分で5,960円ですが、海外レンタルWi-Fiだと GLOBALWifiの4G600Mプランでも、2名で1,370円で利用できる事になります。
また、海外レンタルWifiの場合は、1人1台づつレンタルする事も可能です。ルーターの近くにいないと利用できなくなってしまいますので、5日以上の長期旅行の場合など、別行動が増える場合や、別行動したい方は、別々でレンタルしても、携帯キャリアのデータ定額より安く利用できるでしょう。
この2泊3日の旅行に行くカップルの場合は、価格を考慮すると2人で1日当たり1,080円のイモトのWifi4G/LTE500Mプランがぴったりです。もっと安い3Gプランもありますが、 Instagramの利用やLINE通話を考えると、4Gプランが良いでしょう。
・海外SIM利用
SIMフリー携帯での利用が前提となるサービスで、渡航先へ長期間滞在する際に大容量のデータを安価で利用できるメリットがあります。またSIMの入れ替えで利用できるので、通常の携帯電話の利用法で使う事ができます。利用方法は、現地で購入するか、渡航先に対応したSIMをAmazon等で事前に購入する事でも利用が出来ます。
デメリットとなるのは、設定時の手間と不具合が起こる場合があり、最悪の場合利用できないケースがあります。SIM入れ替え後の設定としては、ネットワークの接続先(APN)設定とSIMによってはアクティベーション(認証)設定が必要で、慣れていないと時間と労力を必要とします。また、SIMを入れ替える事によって電話番号がかわってしまうので、日本で利用している番号に電話がかかっても履歴に残りません。かける場合も番号は違うものになりますので、電話の受発信が必要な場合は利用しない方が良いでしょう。
日本でも購入できる、台湾で利用できるSIMの内容と価格を見てみましょう。
【Sim2fly】 使用期限8日間 4GB 1,450円
【TRAVEL SIM ASIA】 使用期間8日間 4GB 1,580円
国内で買う場合も、海外での購入の場合も、海外SIMは幅広い金額の商品があります。仮に台湾での海外SIM購入の場合は、使用期間3~8日で、3~4Gの容量があり、1,000円から1,500円前後なので、データと価格のバランスで言えば最安です。しかし信頼性のあるSIMも限られているので、利用できなかったり、設定の際の不具合での故障等は、自己責任になる場合もあるので、利用する際は十分に注意する事が必要でしょう。
■さいごに
海外旅行の際に必要になる、携帯利用サービスの特徴や選び方についてご紹介して参りました。
SIMフリーの携帯電話をお持ちで、システム等にも詳しい方は海外SIMもいいかもしれませんが、少し安全性等が心配な方は、費用面と安全性を考えても、レンタルWi-Fiが使いやすそうです。出発前の空港でWi-Fiを借りて、帰りに返却できる事も負担が少なく人気ですので、カップルや複数利用の際はこちらの方が安心かもしれません。
仕事での連絡を受ける必要のある彼と、インスタやLineも気兼ねなく楽しみながら、台湾への旅行をする今回のカップルは、エクスコムグローバル社のイモトのWifiを利用して、1日1,080円の予算で、ストレスなく使えそうです。
金額やプランは、執筆時(2019年7月11日)現在のものです。