
現地SIMとWi-Fiレンタル、おすすめはどっち?
海外旅行に行く人にとって、旅行先でのスマホのネット接続問題は大きな不安要素の一つですよね。一概にネット接続と言っても、現在は様々な方法があります。今回は、比較的安く安定した接続が手に入る「現地プリペイドSIM」と「ポケットWi-Fiレンタル」の二つの方法について、スペイン在住者の目線からメリットとデメリットを徹底解説したいと思います。
現地プリペイドSIMのメリット
現地プリペイドSIMとは、現地の携帯会社のSIMカードをプリペイドで購入し、直接スマホに差し込むことで接続を可能にする方法です。私が実際に契約しているのはスペインのOrangeという携帯会社です。「4GB回線、データ容量4.5GBまで、通話20分まで、スペイン外のEU内通信可能」で、4週間10€(日本円で1,200~1,300円程度(2019年7月現在))のプランを契約しています。
では、さっそく現地プリペイドSIMを利用するメリットについてご紹介いたします。
- 通信制限を気にせずに済む
- 基本的にどこでも通信速度が速い
- 長期滞在であれば値段が安く済む可能性が高い
- プランによっては他の国でも利用が可能
- 端末を持ち歩く必要がない
一つ一つ詳しくご説明したいと思います。
- 通信制限を気にせずに済む
現地プリペイドSIMにも通信限度はあります。例えば私が実際に契約しているSIMは4週間でデータ容量4.5GBまでです。使う時間や通信の内容にもよりますが、家ではWi-Fiで通信していることもあり、個人的には全く問題ありません。ポケットWi-Fiだと一日ごとに使える上限が決まっていることもあるので、それに比べるとかなりストレスは少ないです。
- 基本的にどこでも通信速度が速い
その国の携帯会社の回線で通信しているので、通信はかなり安定しています。その国の中であれば、電波のある限りはどこでも通信が可能です。
- 長期滞在であれば値段が安く済む可能性が高い
先述した通り、スペインの例で言えば4週間10€(1,200~1,300円程度(2019年7月現在))で通信が可能なので、一か国に長期間滞在する場合、プリペイドSIMはかなりお得です。
- プランによっては他の国でも利用が可能
これは契約のプランによりますが、例えばEU圏内では2017年以降、EU内で別途データローミング代を請求することが禁止されたため、どこかの国でプリペイドSIMを契約すれば、他の国でも無料でネット回線を利用できます。私はスペインのOrangeという携帯会社と契約していますが、ポルトガル、オランダなどに旅行した際も全く問題なく使用できました。他には、一部カナダのプリペイドSIMで北・中央アメリカなどの国で使えるものがあるようです。数か国周遊する場合は、どのSIMがどの国で通信可能かを事前に調べておくことをおすすめします。
- 他の端末を持ち歩く必要がない
ポケットWi-Fiのように他の端末を携帯する必要がありません。SIMさえスマホの中に入れてしまえば、そのまま使うことができます。とくになにもしなくても日本と変わらない使い方ができるのもメリットです。
現地SIMのデメリット
続いて現地プリペイドSIMのデメリットをご紹介します。
- 契約に現地言語(国によっては英語でOK)が必要
- SIMロック解除(SIMフリー)する必要がある
- 携帯会社を探す必要がある
- 一つのSIMで一台のスマホしか使えない
- スマホに関する最低限の知識が必要
一つずつ、詳しくご説明します。
- 契約に現地言語(国によっては英語でOK)が必要
国や都市にもよりますが、携帯会社の店員さんは観光客向けに仕事をしているわけではないので、日本語はもちろん、英語も伝わらない可能性もあります。(私が契約したスペインの店員さんはそうでした)細かいプラン内容など、現地言語、もしくは英語でやり取りをする語学力と少しの度胸が要求されます。
- SIMロック解除(SIMフリー)する必要がある
SIMロック解除自体は難しくはないですが、SIMフリー端末でない場合、この旅行のためにSIMロック解除の手続きをしなければなりません。また、例えばiPhoneであればバージョンによってはロック解除できないものもあるので、事前に携帯会社に確認するなど、注意が必要です。
- 携帯会社を探す必要がある
SIMを購入し挿入するまではスマホの通信はフリーWi-Fi以外ではできないので、通信がない状態で携帯会社を探す必要があります。多くの国ではタバコ屋さんやキオスクなどでも購入が可能ですが、慣れていなければ携帯会社での契約をおすすめします。また、海外旅行に慣れていて、通信なしでもある程度移動できる人であれば問題ありませんが、不安な方は空港にSIMが販売していることを事前に確かめるのが良いでしょう。(ただし、空港で購入すると割高な場合もあります。)フランス、スペイン、ベルギーなどへの旅行であれば、料金が安いのでOrangeという携帯会社がおすすめです。
- 一つのSIMで一台のスマホしか使えない
ポケットWi-Fiであれば同時に数台の接続をし、旅行仲間とレンタル代をシェアすることもできますが、SIMは基本的には一台につき一枚です。ただし、通信中のスマホを使ってWi-Fiスポットを作る「テザリング」で他の端末を接続することは可能です(最大5台まで)。注意したいのは、テザリングを行うとそのスマホのバッテリーの消耗が激しくなってしまう点です。少しなら問題ありませんが、長時間テザリングで接続し続けるのはあまりおすすめできません。
- スマホに関する最低限の知識が必要
SIMの扱いはスマホに関する基礎知識を必要とします。SIMフリーができる端末かどうか調べたり、SIMロック解除の手続きをしたり、SIMの差し替えと設定を行ったり、帰国後は元のSIMを端末に戻したりする必要があります。決して難しくはありませんが、スマホを普段あまり使わない人や、契約関連に詳しくない人には少し難しい部分があるかもしれません。
ポケットWi-Fiレンタルのメリット
ポケットWi-Fiレンタルのメリットについてご紹介していきたいと思います。
- 通信が比較的安定している
- 日本語でレンタルが完結できる
- 数人で一つの端末を接続できる
- 一日ごとの値段なので短い滞在でも損をしない
- 操作が簡単
- 現地空港についてすぐに使用可能
- 数か国周遊プランも選択できる
一つずつご説明します。
- 通信が比較的安定している
無料Wi-Fiに比べるとポケットWi-Fiは通信が安定しているので、ストレスなくインターネットを使用することができます。ポケットWi-Fiを持ち歩いていれば、その国の中であればどこでも通信が可能です。
- 日本語でレンタルを完結できる
現地でのSIM購入と異なり、日本の会社との契約になりますので、手続きのすべてが日本語で完結するのはメリットの一つです。万が一トラブル(盗難・紛失)に巻き込まれた際も、日本語で相談ができるので安心です。
- 数人で一つの端末を接続できる
ポケットWi-Fiレンタルの値段はプリペイドSIMに比べるとやや高めですが、一台の端末を複数人で接続できるというメリットもあります。その値段を人数分で割れば、渡航先や日数、同伴者の数によっては結果的に安く上がることもありえます。また、プリペイドSIM使用端末からのテザリングと異なり、スマホのバッテリーの消耗が激しくなることもないので安心です。
- 一日ごとの値段なので短い滞在でも損をしない
プリペイドSIMだと先に決まった通信料分のGBを購入しなければならないため、短い滞在だと必要ないサイズを購入せざるを得ないことがあります。しかしポケットWi-Fiレンタルの場合は日数で値段が決まるので、短い滞在でも損をすることはないと言えます。
- 操作が簡単
ポケットWi-Fiの操作方法は家庭のWi-Fiとほぼ同じで、一度パスワードを入れて接続をしてしまえば、端末の電源が入れば自動で接続されます。そのため、スマホの詳しい知識がない人や、難しい設定が苦手な人でも比較的簡単に使えます。
- 現地空港についてすぐに使用可能
ポケットWi-Fiは国の通信回線と連携しているので、その国入った瞬間から回線を拾うことができます。そのため空港からホテルや市街地への移動も、インターネットを使って行うことができ、安心です。
- 数か国周遊プランも選択できる
ヨーロッパ周遊プランやアジア周遊プランを選べば、対象国の中なら一律料金で利用することも可能です。
ポケットWi-Fiレンタルのデメリット
続いてポケットWi-Fiレンタルのデメリットです。
- 一日の通信の上限が決まっている
一日のデータ通信量決まっているので、その通信量を超えてしまうと、通信ができなくなってしまいます。複数人で接続している場合、動画や画像のアップロードを大量に行うとすぐに容量を超えてしまうこともあるので、注意が必要です。具体的に300MBプランで使用できる目安としては、Webサイト閲覧2,000ページ、LINEメッセージ約15万回、Maps閲覧約81回、Skype通話約492分、Skypeビデオ通話約72分、YouTube視聴約25分となります。なお、インスタグラムには約10回程度の投稿が可能ですが、一回の投稿に約25MBもかかってしまうので、ホテルのWi-Fiを利用して行うのがおすすめです。300MBあれば、複数人でもLINEやWEBサイト、Mapsなどの使用は安心して行えると言えます。
- ポケットWi-Fi端末自体の充電が必要
ポケットWi-Fiもポータブル端末なので、スマホと同じように充電を必要とします。通常一日ごとの充電が必要になるので、この充電を忘れると、せっかくレンタルしたWi-Fiを使えずに過ごすことになってしまうので注意が必要です。
- 使うタイミングで電源を都度入れる必要がある
バッテリー切れにも注意しなければいけないので、基本的にはネットを使うとき以外は端末の電源を切り、使うたびに電源を入れることになります。端末の起動や接続に時間がかかるので、すぐにネットが必要!というときには少し不便かもしれません。
- ポケットWi-Fiから離れると通信できない
ポケットWi-Fiは携帯し近くで通信をすることを前提としているので、一定以上距離が離れると通信が途切れてしまいます。複数人で利用する際には、別行動をすると他の人が使えなくなってしまうデメリットがあります。
- プリペイドSIMに比べると高額
数年前に比べポケットWi-Fiは値段が安くなったような気もしますが、それでも現地プリペイドSIMに比べるとまだまだ高額です。例えばスペインであれば、大手Wi-Fiレンタル会社では一日1,500円程度(データ通信料量500MB/日まで)です。割引があるところを狙ったり、数社の見積もり比較をしたりして、少しでも安いところを選びましょう。
- モデルケース:実際の金額比較
続いて、2週間ヨーロッパ数か国周遊した場合の料金プランを比較してみます。(料金形態や契約内容はすべて2019年7月現在の情報です。)
【現地プリペイドSIMの場合】
回線:4G回線
データ通信量:4.5GB
料金:1,200~1,300円
通信範囲:EU内全域(契約時に内容確認必須)
【ポケットWi-Fiレンタルの場合】
回線:4G回線
データ通信量:300MB/日
料金:1,180円×14日=16,520円(保証付きの場合500円/日×14日=7,000円追加)
通信範囲:EU内全域(ヨーロッパ周遊プランを選択)
※割引やキャンペーンを除く正規価格です。
ポケットWi-Fiの場合、同伴者の人数で割るので、例えば3人での旅行であれば単純に1/3の負担となります。さらに、Wi-Fiレンタル各社から割引サービスがある場合がありますので、タイミングによっては、よりお得にレンタルすることも可能です。先述した通り、300MBプランでは、Webサイト閲覧2,000ページ、LINEメッセージ約15万回、Maps閲覧約81回分と、旅行に必要最低限な機能は十分使用できます。Instagramへも写真アップロードなど通信量のかかる作業は、ホテルのWi-Fiを利用して行いましょう。
まとめ:旅のスタイルに合わせて選ぼう
結論としては、「旅に慣れていて、最低限の語学力と携帯知識のある人」には現地プリペイドSIM、「旅行経験があまりなく、複数人で旅行する予定の人」にはポケットWi-Fiのレンタルをおすすめします。値段だけで考えると現地SIMがおすすめですが、ある程度の経験と知識が必要となります。友達と旅行する場合はポケットWi-Fiのレンタルの方が手続きを簡単にでき、値段もそこまで高額になることもないので手軽だと言えます。
旅のスタイルに合わせて賢く選んで、安心で楽しい旅行にしましょう!